Foundation
わたしたちの土台
Obsidian Wind Veil は、インテリアデザインの文脈ではなく、素材と空間の「読み方」という文脈から生まれました。美しい空間を作ることが目的ではなく、空間がすでに持っている可能性を引き出すことが、わたしたちの出発点です。
そのためには、まず見ることが必要です。光の入り方、素材の重なり、部屋の中で人がどう動くか——そういった細部を観察することが、すべての提案の基礎になります。
Core Principle
観察が提案に先行する
Value
お客様のペースを尊重する
Approach
書面という形で残す
Vision
暗さという素材
谷崎潤一郎は『陰翳礼讃』の中で、西洋が光を求めるのに対し、日本の美意識は影の中に宿ると書きました。それは単なる好みの違いではなく、光と影をどう「読む」かという、知覚の問題です。
わたしたちは、その感性を現代の住まいに引き継ぐことができると考えています。火山性の石が持つ重みある表面、鈍く光る金属の静かな存在感、厚みのある布地が光を吸収するときの奥行き——これらは、「暗い」のではなく、「深い」のです。
そのような空間は、見た目に派手ではありません。しかし、そこに住む人の時間の質を、静かに変えていきます。
Core Beliefs
わたしたちが信じていること
空間は完成しない
住まいは常に変化の中にあります。「完成」を目指すより、変化に対応できる視点を持つことの方が、長く住む人の生活に寄り添えると考えています。
素材は語る
どの素材にも固有の性格があります。それを無視して「流行の素材」を当てはめることは、空間にとって不誠実です。素材と空間の対話を丁寧に読むことが、わたしたちの基本姿勢です。
言葉が空間を変える
「なんとなく重い」「もう少し静かな感じにしたい」——そのような感覚を言語化できたとき、何をすべきかが初めて見えてきます。書面はそのための言語の贈り物です。
急ぐことは解決しない
空間の問題に対して、早急な答えを出すことが常に正しいとは思いません。観察に時間をかけ、提案を受けた後も、お客様自身が時間をかけて判断することを大切にしています。
外観と内実は一致する
見た目の美しさと、そこに住む人の快適さは矛盾しません。ただし、その両立には素材と人の動線、光の配置という三つの調整が必要です。
引き算の美しさ
多くの場合、空間に必要なのは「加えること」ではなく「減らすこと」です。何を取り除くかを見極める判断が、最も難しく、最も価値のある仕事だと考えています。
In Practice
考え方が、仕事になるとき
観察の倫理
見ることへの責任
住まいを訪問するとき、わたしたちはお客様の日常に踏み込みます。それは小さな越境です。だからこそ、観察したことは書面の中で正直に、しかし丁寧に伝えます。批判ではなく、発見として。
素材選定の倫理
選択肢の誠実さ
素材を提案するとき、わたしたちは特定のブランドや販売店との利害関係を持ちません。提案は純粋に、その空間にとって何が適切かという判断から生まれます。
写真ディレクションの倫理
空間の正直な記録
写真は空間を「よく見せる」ためではなく、空間の本質を記録するためにあります。ディレクションも、その前提のもとに行います。実際より良く見せることを目的とする演出は、わたしたちのアプローチに含まれません。
Human-Centered
人を中心に置く
空間の美しさは、それが誰かの生活を支えているときに初めて完結します。写真映えする部屋と、そこで気持ちよく暮らせる部屋は、必ずしも同じではありません。
わたしたちが訪問時に重視するのは、空間の見た目だけでなく、そこに住む人の動線や習慣、時間の使い方です。朝日が入る角度、夜に座る場所、使い続けているものとそうでないもの——そういった細部が、提案の質を左右します。
個別性の尊重
どの住まいも、同じ提案を適用できる「標準的な空間」ではありません。すべての書面はその住まいのために書かれます。
決断の自由
提案を受けた後、何を変えるか、いつ変えるかは完全にお客様の自由です。わたしたちが後押しすることはありません。
愛着への敬意
長く使ってきた家具や、理由はわからないけれど手放せないもの——そういった愛着を否定することは、わたしたちの仕事の範囲外です。
Intention
意図ある変化
「新しい」ことと「良い」ことは別物です。わたしたちは新しい素材や手法に対して開かれていますが、それが本当にその空間に必要かどうかを常に問い直します。
日本の建築や工芸が長年かけて培ってきた素材の扱い方には、今も学べることが多くあります。伝統と現代の素材観を行き来しながら、その住まいに最もふさわしいものを選ぶ——それが意図ある変化の意味です。
伝統から学ぶ
左官、組子、金属の鎚目——それぞれの技術が持つ素材感は、現代の空間でも新しい文脈を作ります。
新素材との対話
現代的な仕上げ材や加工技術も、その特性を正確に理解した上で、空間の文脈に合わせて提案します。
Integrity
誠実さと透明性
わたしたちのサービスには、いくつかの明確な前提があります。これを最初にお伝えすることが、誠実な関係の出発点だと考えています。
書面の内容は観察と考察に基づきます。確実な成果を約束するものではありません。
特定の商品や業者との販売提携は行っていません。素材提案は中立的な立場から行われます。
訪問時に見たもの、感じたことは、書面の中で正直に記述します。良い点だけを書くことはしません。
価格は事前に明示します。追加費用が発生する場合は、事前にご説明します。
Collaboration
共に考えること
コンサルテーションとは、専門家が答えを渡すことではないと考えています。お客様がすでに持っている感覚や知識と、わたしたちの観察と素材知識が出会うとき、はじめて意味のある提案が生まれます。
セッションの時間は、わたしたちが話す時間だけでなく、お客様が話す時間でもあります。「なぜそのソファが好きなのか」「あの角が気になる理由」——そういった言語化しにくいことを一緒に探ることに、価値があると信じています。
「空間のことを、誰かと一緒に考えたことがなかった。言葉にすると、見えてくるものがある。」
— 2025年5月のご依頼より
Long-term
長い時間で考える
住まいは、5年後も10年後も使われ続けます。その前提で提案を考えることが、わたしたちにとって当然のことです。流行や気分に左右されない、素材と空間の基本的な関係を大切にします。
「古びない」提案とは、常に新しいということではありません。時間が経つほどに深みが増すような素材と構成——それを選ぶ目を持つことが、長期的な思考の実践です。
耐久性
使い込むほど味が出る素材の選び方を提案します。
可変性
生活が変わっても対応できる空間の柔軟性を考えます。
記憶
空間がその家族の時間を蓄積していくことを大切にします。
For You
あなたにとって、何を意味するか
この哲学が実際のサービスに変わるとき、お客様が体験するのは以下のようなことです。
押しつけられない
「こうすべき」ではなく「このような可能性がある」という言い方で、提案は届きます。
自分の感覚が尊重される
あなたの住まいへの愛着や好みを出発点として、そこから提案が組み立てられます。
後に残るものがある
セッションや訪問が終わった後も、書面という形で考え方が手元に残り続けます。
空間との向き合い方が変わる
部屋を「見る」目が少し変わることで、次に何かを選ぶときの判断が変わるかもしれません。